開発者のための Windows Terminal 入門
Windows Terminal は Windows 10 以降で使える新しいターミナルである。 従来のターミナル (cmd.exe など) と比較すると、"tmux" のようにタブやペインが使えるほか、ウィンドウ内での文字列検索などにも対応おり、絵文字 (🍺) の表示もサポートしている。
Windows ユーザーの多くは絵文字表示に必要性/利便性を感じないかもしれないが、Linux などの世界では出力に絵文字を使うアプリケーションも増えているため、Windows Subsystem for Linux (WSL) ユーザーなどは不満を感じていた点ではないかと思う。 ちなみに、 Windows の世界でも "Dapr" などマルチ プラットフォーム対応なアプリケーションの一部で絵文字が使われ始めている。
Windows Terminal のインストール
インストール要件
- Windows 10 Version 1903 (18362) 以上が必要 *1
- x86, x64, ARM64 に対応
インストール方法
以下のリンクからダウンロードできる (Windows Store 経由) www.microsoft.com
ショートカット キー
既定のショートカット キーについて以下に示す。
ショートカット キーが他のアプリケーションと競合してしまっているケースや、自分の好みと異なる場合は、JSON ファイル形式の設定ファイルを変更することで、好みの設定変更できる。
なお、コマンドライン上で動作するアプリケーションのショートカット キーとバッティングしないために、Shift キー付きでバインドされていることが多い。
基本操作
操作 | キー |
---|---|
コピー | Ctrl + Shift + C |
貼り付け | Ctrl + Shift + V |
検索 | Ctrl + Shift + F |
タブの操作 *2
操作 | キー |
---|---|
プロファイル 0 のタブを開く | Ctrl + Shift + 1 |
プロファイル 1 のタブを開く | Ctrl + Shift + 2 |
プロファイル 2 のタブを開く | Ctrl + Shift + 3 |
プロファイル 3 のタブを開く | Ctrl + Shift + 4 |
プロファイル 4 のタブを開く | Ctrl + Shift + 5 |
プロファイル 5 のタブを開く | Ctrl + Shift + 6 |
プロファイル 6 のタブを開く | Ctrl + Shift + 7 |
プロファイル 7 のタブを開く | Ctrl + Shift + 8 |
プロファイル 8 のタブを開く | Ctrl + Shift + 9 |
現在のタブを複製 | Ctrl + Shift + D |
次のタブ | Ctrl + Tab |
前のタブ | Ctrl + Shift + Tab |
タブ 0 に移動 | Ctrl + Alt + 1 |
タブ 1 に移動 | Ctrl + Alt + 2 |
タブ 2 に移動 | Ctrl + Alt + 3 |
タブ 3 に移動 | Ctrl + Alt + 4 |
タブ 4 に移動 | Ctrl + Alt + 5 |
タブ 5 に移動 | Ctrl + Alt + 6 |
タブ 6 に移動 | Ctrl + Alt + 7 |
タブ 7 に移動 | Ctrl + Alt + 8 |
タブ 8 に移動 | Ctrl + Alt + 9 |
ペインの操作
既定ではペイン操作用のショートカットは設定されていない様なので、私は以下のように設定に追加している。*3
{ "command" : "splitHorizontal", "keys" : ["ctrl+shift+-"] }, { "command" : "splitVertical", "keys" : ["ctrl+shift+|"] }, { "command" : "moveFocusUp", "keys" : ["ctrl+alt+up"] }, { "command" : "moveFocusDown", "keys" : ["ctrl+alt+down"] }, { "command" : "moveFocusLeft", "keys" : ["ctrl+alt+left"] }, { "command" : "moveFocusRight", "keys" : ["ctrl+alt+right"] }, { "command" : "resizePaneUp", "keys" : ["shift+alt+up"] }, { "command" : "resizePaneDown", "keys" : ["shift+alt+down"] }, { "command" : "resizePaneLeft", "keys" : ["shift+alt+left"] }, { "command" : "resizePaneRight", "keys" : ["shift+alt+right"] }, { "command" : "closePane", "keys" : ["ctrl+shift+w"] }
その他
操作 | キー |
---|---|
設定を開く | Ctrl + , |
なお、設定を開くと、JSON ファイルに関連付けされている既定のアプリケーションが起動するので、注意すること。 特に Visual Studio を使用している開発者は、既定が Visual Studio になっていることがあるので、"Visual Studio Code" など比較的軽量なエディタに関連付けしておくと良い。
コマンドライン引数
Windows Terminal をコマンドラインから起動する場合は wt
で起動できる。
wt
また、バージョン 0.9 で、コマンドライン引数にも対応している。 バージョン 0.9 でのヘルプを以下に示す。
wt - the Windows Terminal Usage: [OPTIONS] [SUBCOMMAND] Options: -h,--help Print this help message and exit Subcommands: new-tab Create a new tab split-pane Create a new split pane focus-tab Move focus to another tab
ディレクトリを開く
特定のディレクトリを開くには、"-d" オプションを使用する。"C:\Windows" を開く例を以下に示す。
wt -d C:\Windows
現在のディレクトリを Windows Terminal で起動したい場合は次のようにする。*4
wt -d .
応用としては、Explorer.exe のアドレス バーで cmd や powershell を起動している方は、代わりに "wt -d ." を入力することで、Windows Terminal を起動することができる (デフォルトのプロファイルで起動する)。
レイアウトを変更する (タブを開く/ペインを分割する)
パラメータを指定することで、起動時にタブやペインの構成を指定することができる。 なお、";" の前後には必ず空白を挿入する必要があるので、注意すること。
追加でタブを開く場合は、new-tab
コマンドを使用する。
下記の例では、既定のプロファイルのタブに加えて、PowerShell のタブが表示される。
wt ; new-tab -p "Windows PowerShell"
なお、-p
オプションには、プロファイル名を指定する必要がある。プロファイル名が不明な場合は、設定ファイルのプロファイルを確認すると良い。たとえば、下記のプロファイルの場合、"name" が示す "Windows PowerShell" がプロファイル名である。
{ "tabTitle": "PowerShell", "suppressApplicationTitle": true, "acrylicOpacity": 0.5, "background": "#012456", "closeOnExit": true, "colorScheme": "Campbell", "commandline": "powershell.exe", "cursorColor": "#FFFFFF", "cursorShape": "bar", "fontFace": "Consolas", "fontSize": 11, "guid": "{61c54bbd-c2c6-5271-96e7-009a87ff44bf}", "historySize": 9001, "icon": "ms-appx:///ProfileIcons/{61c54bbd-c2c6-5271-96e7-009a87ff44bf}.png", "name": "Windows PowerShell", "padding": "0, 0, 0, 0", "snapOnInput": true, "startingDirectory": "%USERPROFILE%", "useAcrylic": false },
プロファイル名を指定する方法の他に、実行ファイルを指定する方法もある。たとえば、WSL の既定を開く場合は、以下のように指定する。
wt ; new-tab wsl.exe
ペインを分割する場合は、split-pane
コマンドを使用する。
下記の例では、ペインが分割され、左側は既定のプロファイル、右側は PowerShell が表示される。
wt ; split-pane -p "Windows PowerShell"
なお、分割する方向は 水平を示す -H
、または垂直を示す -V
オプションを指定すればよい。指定しない場合は、垂直 (縦) に分割される。
水平 (横) に分割する場合の例を以下に示す。
wt ; split-pane -p "Windows PowerShell" -H
参考情報
公式ブログ
Windows Terminal の情報は以下のブログで紹介されている。新機能の紹介なども説明しているので、参考にされたい。
ユーザー ドキュメント
公式なユーザー向けのドキュメントは GitHub 上で公開されているので、機能について知りたい場合は以下を参照すると良い。