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memory dump (mini)

購入した製品が動かないので Microsoft と Apple から電話サポートをしてもらった話

久しぶりにブログを書こうと思ったのは、比較的短い間隔で購入した製品が動かないという不幸が続き、カスタマー サポートを Microsoft と Apple から受けたのがだ、その時の印象がだいぶ違うことに驚いたからだ。

これを読む人が同じようにサポートを受ける人なのか、サポートをする側の人なのかはわからないが、どちらにでも有益な情報になるだろうと思って書いた。ただ個人的には、サポートをする側の人たちがこの内容を見てもう少しサポートを改善しようと思ってくれると嬉しい。

Microsoft / Apple のカスタマー サポートの流れの比較

それぞれ、個人向けサポート (コンシューマー サポート) 窓口での対応の話である。企業サポートや、それ以外の対応ではサポート体制が大きく異なることがあるので、注意してほしい。

対応ステップ        Microsoft Apple
カスタマー サポートに電話する方法 Microsoft のサポートページに記載されている電話番号に連絡する。ちなみに、Windows 10 に搭載されている [問い合わせ] アプリには、個人顧客向けのリンクがないので注意。電話番号も問い合わせ内容によって複数存在するため、どれに電話をするのかは注意が必要。 サポートページより対象の製品を選び、[すぐアドバイザーと連絡したい]をクリックすればよい。このとき、何分ぐらいで連絡がとれるのかも記載がある。
電話サポートまでの流れ 音声ガイダンスに従って、問い合わせ内容を電話番号のプッシュで選択。担当窓口が対応可能になるまで少し待つ ウェブサイト上で必要な情報 (シリアル番号、問い合わせ内容) を記載したうえで、自分自身の電話番号を記入する。折り返し、担当者より電話がくる。
問題のヒアリング サポート担当者にどのような事象だったのかを話す。その際に、電話が切られてしまった場合に備えて、名前と電話番号を確認される。 アドバイザーよりWebサイトに記載した事情について詳細に話を聞かれる。たとえば、「動かない」と記載した場合には、どのように動かないのか、などについて確認される。ヒアリングが完了すると、折り返しエンジニアから連絡しますといわれてこの電話は終了。
問題の対処 ヒアリングした事象についてサポート担当者が対処方法を確認するので、しばし待つ。対処方法について説明を受け、サポート担当者と一緒に問題解決を試みる エンジニアから連絡が来る。問題の事象について再度確認を受けて齟齬がないことを確認される。エンジニアと一緒に問題解決を試みる

なお、問題の事象次第で、その後の対応については変わるため、問題の対処後については比較しない。

特記すべき体験について以下に書いておく。

Apple のアドバイザーはとにかくエモい

釣りタイトルみたいで申し訳ないが (笑)、アドバイザーの対応はとにかく低姿勢で丁寧に対応してくれる。 私の場合、Apple TV が自身の TV で接続しても画面が表示されないという問題だったわけだが、「〇〇様が Apple TV でビデオを見られると楽しみにされていたのに画面が表示されないということなのですね...それは大変申し訳ございません!」というような言葉を感情をこめて言われる。私も、「おぉぉ...この人、私の問題を理解している!」という気持ちになった。期待して購入した製品について、動かなくて「残念だ」という気持ちに対して、「残念でしたよね」と共感することは大事なのだなぁ、と改めて思った。Microsoft のサポートでも他のサポートでもそうだが、基本的には「なるほど、そうですか。」という対応で終わってしまうが、購入した製品が期待する機能をはたしていないとき、こういった対応は必要だ。

Apple のサポート体制について私は知らないが、私の予想ではアドバイザーは問題のハンドリングをしているのだと思う。つまり、アドバイザー自身が直接問題を解決するのではなく、ユーザーからヒアリングしたうえで適切な場所に誘導しているのだろう、と予想している。実際、このアドバイザーからは「どんな問題か」についてはいろいろと聞かれるが、簡単な「対処」については何も聞かれなかった。

電話受付時、事象によっては顧客は焦っていたり、怒っていたりしているだろう。そういう時にこういったアドバイザーが丁寧にそして冷静に問題を仕分け、適切な場所に振り分けるのには特殊なスキルが必要だ。それは、技術サポートとはちょっと違う。

電話口で "待つ" ということ

現在、企業は様々なサポート手段を持っている。たとえば、電話、メール、チャット、ボットなど。企業によっては Twitter などの SNS を巡回し、自社製品に不満を言っている Tweet を見つけて、対処方法を連絡するということをしていたりもする。 ただ、緊急であったり、状況や問題について整理ができていない場合、あなたは "電話サポート" を選ぶはずだ。

電話サポートにおける問題の 1 つは、その対応時間だ。これを見ている人が長電話は慣れたものかどうかはわからないが、私は日頃、スマホで 1 時間も電話などしない。今回の Microsoft の場合は、購入した商品が初期不良だったという問題だったが、こんなシンプルな問題でも結局 1 時間以上電話することになった。おそらく、サポート担当者 (オペレーター) 側はヘッドフォンなどで対応しているのだろうが、スマホというそこそこのダンベルを1時間以上耳に当てて電話をするのは大変疲れた (手がしびれて途中で諦めそうになった)。

電話を長時間にさせる原因は明らかで、すべてを電話口で対応するためだ。たとえば、上記の比較表では Microsoft は1回の電話ですべての作業が行われているが、Apple の場合はアドバイザーとそのあとのエンジニアとの 2 回に分割されている。しかも、Apple の場合は電話前に問題を伝えているので話がスムーズ (Apple 側が電話前にどのような対処をするかが明らか) なのに対して、Microsoft 側は電話口での質問に急に対応する必要がるため、時間がかかるのだ。

そう、Apple のサポートはお客様のためにも、自分たちのためにもシステムが良くできている。

担当者が変わらないという安心感

Apple のサポートで特に関心したのは、アサインされたエンジニアが開口一番に「では、私がこの問題を最後まで一緒に解決に当たらせていただきます」と言ったことだった。

サポートを受けたことがない人は「普通じゃないの?」と思ったかもしれないが、これは普通ではない。多くのサポート対応というのは電話するたびに担当者 (オペレーター) が変わるのが普通だ。このため、問い合わせごとに番号をつけて管理をし、"引継ぎ" をする。

実際、Apple の場合は 1 回の電話では解決せずにこのあと、何度も電話をすることになったが、担当者から自身に直接電話可能な電話番号を連絡してもらえたので、新たな事象などをスムーズに話すことができた (何度も対応番号を伝えたり、引継ぎできていなかった詳細について話を伝えるのは大変心が折れる)。

(おまけ)

当然、Apple の担当者も私だけを担当しているわけではないので、暇ではない。途中何度も電話をかけてもつながらないという事象に遭遇した。すると、1 - 2時間ぐらいでその担当者の上司から連絡があり、「担当者が多忙で電話に出られなくて申し訳ありません。状況は理解していますので、私もサポートさせていただきます。」と言われた。「結局、1人の担当者じゃないんかい!」というツッコミがくるかもしれないが、この人は再度事情を説明することもなく、完全に状況を理解して適切な対応をしてくれた。

結局、私の購入した Apple TV はテレビとの相性問題であるという結論を受けて、返金対応をすることになった。担当者から「せっかく買っていただいたのに大変申し訳ない、Apple に問い合わせて担当者が返品してもらってくださいと言っていたと言ってください、もしかしたらテレビ メーカーのサポートにも問合せていただくと対処方法が見つかるかもしれません」といった言葉をかけてもらった。最後まで非常に丁寧かつ親切な対応だったと思う。

面白かったのは、その話を受けて相性問題だからテレビ メーカーのサポートにも連絡しようと電話をしたら「あー、そういう "変な" デバイスはつながないでください」と言われたことだ。さすが某有名企業、としか言いようがない。

IT (ICT) サポートについて思うこと

私もこの業界にいてそこそこ長くなってきたので、IT の問題の複雑性については理解しているつもりだ。

たとえば、周辺機器の不具合の場合、「認識しない」という問題が、コンピューター側の問題 (つまり、ドライバーやソフトウェア) の問題として発生しているのか、周辺機器自体 (つまり、ハードウェア) の問題として発生しているのかが判断しにくい。 そして、そういった問題を切り分ける方法として「"別の〇〇" はありますか?」という言葉を聞くことがあるかもしれない。たとえば、テレビに映らないのであれば「別の HDMI ケーブルで接続してみていただけますか?」といったセリフだ。ただ、こういったセリフに対して、私はときどき「ん???」となることがある。

たとえば、「では、別のテレビに接続してみてください」、「では、別の Surface に接続してください」といったセリフ。普通、個人はそんなに高額なデバイスを当然のように複数持っていない。仮にそれがある可能性を期待していたのだとしても「もしあれば、なんですが...」といえば全然印象が違うのになぁ、と思った。

ちなみに、あるサポートでは「対応してないモニターなので、モニターを買いなおしてください」と言われて、お茶を吹きそうになったことすらある。心の中で、「お前なんか、購入した HEMS が動かなくて、家を買いなおせ!」と思ったのは内緒である。

おわりに

この文章を読むと、「Apple すごい!Microsoft けしからん!」と思うかもしれないが、それは事実とは違う可能性がある。なぜなら、その印象は私からの感情バイアスを受けているからだ。

実際、マイクロソフトのサポートでも素晴らしい対応をしてくれるときもあれば、そうでないときもある。それは他の企業のサポートであっても同じことだ。私が書きたかったのは「サポートの仕組み/システムを変えれば顧客体験がこんなにも違うのか」と感じたこと、そして対応の仕方や言葉一つでカスタマーサポートの印象は大きく違うのだと感じた体験を共有したかったからだ。特定の企業を批判する目的で書いたわけではないことを十分に理解してほしい。